ファンタジー系の最近のブログ記事

年末になりようやく身辺が落ち着いてきたので,本の整理を兼ねてblog更新.

以前読書会でも取り上げた齋藤智裕『KAGEROU』について今更エントリー.しかし,こんなミーハーな課題本を挙げる読書会ってウチくらいだろうなーw

水嶋ヒロが小説を出すと聞いて驚きはしましたが,仮面ライダー好きである私自身はこの俳優をわりかし好いており,基本的には好意的な視点で本書を読んでおります.正直,結構ハードルを下げており,その視点からすると「意外とちゃんと形になっている」「意外と面白かった」というのが正直な感想です.

もちろんストーリーの緻密さ,語彙といった点には難があります.題材もよくある話というか古典的だし,『笑うせぇるすまん』っぽいし.それでも映画の原作と考えれば十分ではないでしょうか.水嶋ヒロ自身,映画に関心を示していたし.

…って比較的温厚な評価をしたら読書会で叩かれたけどね…

さて,仮面ライダーカブトこと天道総司こと水嶋ヒロこと齋藤智裕先生(長い!)は,2作目を執筆する予定はあるのでしょうか?読書会ではこの作家の将来についても語りましたけど,その後の噂をまったく聞きませんね…今後も執筆を続けるのであれば,どうして一作目に40代の男の悲哀を描こうとしたのか訊いてみたいところです.だいたいどの作家も若手時代には自らの若さを投影した作品を書きますよね.『太陽の季節』とか(例えが古い).

なんやかんやで2作目が出たら,それはそれで読んでしまいそうな時点でポプラ社の戦略に負けた気がします.ブロガー的にもネタになりそうなので,気楽に待ちましょうか.あ,映画化の方もお待ちしています.主題歌はもちろん奥様で.

First Message

鴨川ホルモー』の続編というかスピンオフ的作品『ホルモー六景』読了.

八坂神社をバックにしたローマの休日風の表紙が綺麗.

前作のようにホルモーという競技がメインではなく,ホルモーをスパイスにした6篇の恋物語オムニバス.時系列でいえば『鴨川ホルモー』の遠い昔だったり,同時並行だったり,近未来だったり.

前作では語られることのなかった脇役たちのストーリーも語られています.たとえば物語の現況である芦屋の元カノ,作中最強と謳われた京産大玄武組の恋,主人公・安倍の友人である高村がチョンマゲを止めた理由…

6篇のうち一番好きなのは,本作の表紙を飾る凡ちゃんこと楠木ふみのサイドストーリー「ローマ風の休日」.前作やDVDを見て「凡ちゃんカワエエなぁ」「栗山千明さま…」と思った人には是非オススメ.

「初めてだったの」
彼女は顔を伏せると,かすれる声で言った.
「こうやって,男の人にデートに誘われるの,生まれて初めてだったの.だから,相手が少年でも,別に冗談ってわかっていても,うれしかった」(P.95)

キュンキュンきますね(おっさん的感想).

『鴨川ホルモー』にすっかりハマった人には,あわせて読むとエピソードの繋がりや裏側が見えて2倍美味しい!オススメします.

ところで,前作では京大青龍会の分裂の元凶は早良京子で,いかにも悪女な風に描かれていましたけど,本作を読むと芦屋がものすごくだらしない男なんですよね…なんて意味でも面白い.

映画化もされた伊坂幸太郎『死神の精度』,読了.

伊坂幸太郎の個人的評価としては,とかく技巧的.長篇は凝りすぎ,短篇は実験的すぎて,どの作品を読んでもアタリ!という作家ではないと思っています.面白いんだけど当たり外れというか合う合わないが強い.最近の作品は読んでいませんが,そんな風に思っています(大ファンの方ごめんなさい).

そんな中,本作『死神の精度』は純粋に娯楽作品として楽しめるのでよかったです.

本作はクールだけれどどこか抜けている死神(千葉)が,死を迎えようとする人間を「観察」し生死の判断を下す六篇の物語.クレーム処理に明け暮れる若い女性,敵対する組長を討とうとするヤクザ…ハートウォーミングあり,救いのない話あり,ミステリー仕立てありと飽きない構成です.読み切りの六篇と思いきや,読み進めていくうちに各話のゆるいリンクが見えてくるのは,いかにも伊坂幸太郎らしい.

六篇のうち,映画化されたのは「死神の精度」「死神と藤田」「死神対老女」.「死神と藤田」は著者らしいアウトローの物語なので映像化しやすく,また残りの二話は本書の最初と最後を飾るリンクした作品なので映像化は必須か…リンクという意味では「恋愛で死神」も欲しいし,ミステリー風の「吹雪に死神」やロードームービー調の「旅路に死神」も密室劇で面白いと思いますが,尺が足りないか.

いずれにしても,映像をイメージしながら読める作品でオススメです.コアな伊坂ファンにとっては物足りないかもしれませんが,ビギナーの私は楽しめました.映画は未聴なのですが,千葉を金城武で脳内再生しながら読みました.


Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]
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DVDのカバージャケットも暗示的でいい!


なお,以下の台詞が印象的なのですが,元ネタは巻末資料によるとジャン・リュック・ゴダール『女と男のいる舗道』のようです.

「こういう台詞があったんですよ.『誤りと嘘に大した違いはない.五時に来ると言って来ないのはトリックだ.微妙な嘘というのは,ほとんど誤りに近い』って」

今日の読書会のテーマである『鴨川ホルモー』を読んだので,感想を簡単に.読書会で皆さんの感想はのちほど更新します.

奇想天外!抱腹絶倒!「はじめに」から笑いっぱなしでした.表紙と目次の鴨川の絵もいい.京都市在住経験者には一読を勧めたい一冊(なぜ今まで読まなかったんだろう…).

万城目学『鹿男あをによし』,読了.次回の読書会のテーマが同じ筆者の『鴨川ホルモー』ということで,手はじめに読んでみた次第.

ドラマ化されて,玉木宏と鹿が喋る絵を観てファンタジー小説であることは知っていたけど,日本を救う壮大な話とは知りませんでした.

鹿男あをによし DVD-BOX ディレクターズカット完全版
鹿男あをによし DVD-BOX ディレクターズカット完全版

松久淳+田中渉の『天国の本屋』略して「てんぽん」シリーズ(そう呼ぶのは当人達だけとの噂)第4作『あの夏を泳ぐ―天国の本屋』,2年遅れで読了。

第3作『恋火』が2002年だから6年ぶりのシリーズ新作。もう出ないと思っていました。てんぽん,フォーーーーー!(古い)

本多孝好の恋愛短編集『FINE DAYS』を読みました.著者の作品を読むのは『LOVE or LIKE』以来2度目.本書中の『イエスタデイズ』が映画化されるためか,書店で平積みになっていたので購入しました.

»FINE DAYS (祥伝社文庫)
FINE DAYS (祥伝社文庫)

以前,「天国の本屋~恋火」の新装版が発売&シリーズ第4作カミングスーン!で紹介した「恋火」を再読.

いやぁ,やっぱりいい本です.「天国の本屋」シリーズ第3作,花火とピアノの邂逅の物語ですが,素晴らしいピアノの演奏について,

「それは感動って言うのよ.音楽の神様からのプレゼントなの.よかったね」

という言葉は,かつては音楽を志した私の心に響きます.

「町山健太です.よろしく」
「私は長瀬香夏子.はじめまして」

という主人公二人の会話で終わるストーリーも見事ですね.二人は劇中,ほとんど関わりませんが,最後のこの挨拶をもとに彼らのラブストーリーが始まるとしたら素敵ですね.そういえば,「こんにちは」から始まる恋の歌が,ライオネル・リッチー(Lionel Richie)の「HELLO」でしたね.正確には「始まる」じゃなくて「やりなおす」ですが.

Yahoo!ミュージック - ライオネル・リッチー - 歌詞 - HELLO

「恋火」,竹内結子主演の映画は彼女のための映画でしたね…


天国の本屋 ~恋火 [DVD]
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長澤まさみ主演で映画化される市川拓司「そのときは彼によろしく」が,映画に合わせてか文庫化されました.以前も読んだんですけど文庫版を早速読了&レビュー!

いやあ,この話やっぱり好きです.

著者の代表作と言えば「いま,会いにゆきます」だと思います.私は映画館で3回泣きましたが,小説の方はさっぱりでした.泣けないというより,読んでて面白くない.これは他の作品にも通ずる著者の傾向ですが,文章が洗練されていないし,展開はベタだし,ファンタジーに頼りすぎだし…

ところが「そのときは彼によろしく」は,それらの欠点を補ってキャラクター設定が面白い.スーパーモデルのヒロイン・花梨,アクアショップ経営の智史,智史の店でバイトする元エリート会社員の夏目くんといった面々が魅力的に描かれています.

また,ローティーンの頃の友情や恋愛と,30歳前後のそれとを上手く絡めていて,ある年齢以上の人が読んだら郷愁をそそられること間違いないでしょう.

恋愛小説として上手くまとまっているのだから,ファンタジーに頼らなくても…という難点には目をつぶり,市川拓司嫌いな方にもオススメしたい一冊です.泣ける作品ではなく,心温まるラブストーリー.


ところで映画は山田孝之&長澤まさみですが,原作では30歳前後のキャラなのでイメージ違いますね.私は2005年8月にmixiのレビュー記事にこんなことを書いていました.

石川亜沙美や香里奈(ちょっと若いかな)あたりで映像化してほしいと思った次第(となると主人公は草なぎ剛,谷原章介あたり?).

「いま,会いにゆきます」の著者,市川拓司さんの新作「世界中が雨だったら」を読みました.

世界中が雨だったら
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市川 拓司
新潮社 (2005/06/29)
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…この本を読むまで,私は著者のことを「ちょっと暗めの設定だけれど最終的にはファンタジーっぽいイイ話を書く人」という位置づけをしておりましたが…

訂正.

この本は,著者の暗い面-鬱屈した暗さ,救われなさ,死や病に対する恐怖-のみで構成されています.

これはこれで面白いという方もいると思いますが,著者のラブストーリーが好きな方には一切オススメしません.暗すぎます.

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