書評:森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

彼女いない歴二十数年の主人公が恋に恋して大暴走。というのは以前に読んだ『太陽の塔』と同じなのだが、『夜は短し…』では主人公の思い人〈黒髪の乙女〉の視点でも物語が進行していく。

不思議な登場人物、奇想天外な出来事が飛び出す森見ワールドを楽しみつつ、いつの間にやら主人公を応援し黒髪の乙女の魅力に私まで惹かれてしまう。黒髪の乙女は主人公の部活の後輩として入学してきた大学一年生。機嫌がいいと二足歩行ロボットの真似をしてフワフワと不思議なステップを踏み、自分の身に危険が迫れば得意技の〈お友だちパンチ〉を繰り出す。下鴨神社の古本市や学園祭に一人で出かけ奇妙な人たちと友だちになったり、京都市一帯を襲った災厄と戦い見事勝利を収めたり…。恋愛に縁がないのは彼女も同じで、先輩の「ナカメ作戦」(なるべく彼女の目にとまる作戦)に気付く気配もなく、たびたび彼と出くわすのもただの偶然だと信じて疑わない。黒髪の乙女は大学入学後の一年を楽しく過ごせ、十分満足のようだが、先輩との関係も順調に進展していって欲しいと願わずにはいられない。

個人的には学園祭に登場した「秘宝館」と「桃色ブリーフ」が気になる…。