書評:三浦しをん『月魚』

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久しぶりに三浦しをん.彼女自身にBL(ボーイズラブ)の嗜みがあることはエッセイを読んで承知しており,また小説の中にもそれっぽい作品があるとは聞いていましたが,これほどとは…

月魚』.神保町の古書店・無窮堂の若き当主である真志喜とその友人・瀬名垣の物語.幼い頃の罪の意識を共有した二人…

私はBLというものをまったく嗜まない男でありますが,なるほどBLにハマる心理というものが本書を読んで分かる気がしました.

「へえ,泊まっていっていいんだ」
茶化すような瀬名垣の言葉に,細い真志喜の首筋がうっすらと桜色に染まった.(P.10)
「ところかまわず私の髪の毛に触るのはやめろ.だれかに見られたら変に思われる」
「好きなんだよ」
と瀬名垣は笑った.「この猫の毛みたいな感触が」(P.86)

何このエロス.もちろん直截な表現はなく(肉体関係をほのめかす表現はあるけど),全体としては澄んだ水のように透明感に満ちています.にも関わらず,幼い罪の共有ゆえの濃密な感情が切なく描かれている…

私,センシティヴなBLなら読めるんじゃないかと思ってしまいました.twitterで私のフォロワーさんには腐女子が多いのですが,影響を受けているかもしれません.レベルアップ中(BL的な意味で).

ついついBLっぽさを強調してしまいましたが,本題は古本への思いであり,真志喜と瀬名垣の成長の物語.本が好きなら読む価値あります.爽やかな男同士の友情と愛情の話(まだ言うか).


最後に,本書の教訓は「他人の部屋でヤってはいけない」.映画『タイタニック』でも,他人の車でカーセックスする描写がありましたが,イカ臭くなるしセックスの作法は守りたいものです.