書評:村上春樹『風の歌を聴け』

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ノルウェイの森』に続いて,個人的に村上春樹2作品目を読みました。どうせ読むなら最初からと言われたし,デビュー作から…

1970年の夏の18日間を描いた話。オシャレな青春小説。うん,そうとしかコメントしづらいw

村上春樹の小説は「何も起こらない」作品であることは知っていましたが(純文学は総じてそうだが),中編だし盛り上がりも少ない。ただただオシャレにビールを飲む若者の話。というと身も蓋もないか。

『ノルウェイの森』でもあったけど,将来大人になった「僕」が過去を一人称で語る形式は結構なんだけど,結局「僕」が何者になったかは明かされていない。物書きっぽいのである意味では「僕」は村上春樹その人であり,自伝小説のようにも見える。これも作家のテクニックなんでしょうか。

テクニックと言えば,ありもしないデレク・ハートフィールドという架空の作家を熱心に取り上げているところがすごい。これで騙された人も多いみたいですね。あとがきでも真面目に触れているし。当時の新人作家としては驚異的なテクニックというか,腹の座った人だ。文壇をおもいっきりコケにしてるよね。

デレク・ハートフィールド - Wikipedia

1975年という発表当時に読んだらすごく斬新な小説だったと思うのだけれど,今となっては大作家の初々しいデビュー作という印象しか受けなかった…面白かったけど,その時代に読めなかったことがちょっと残念。