マンガ評:土井善晴+小波田えま『マンガ版 お料理入門』

料理自体は嫌いじゃないし、長年の接待と飲み歩きで培った“舌”で、それなりのものをそれなりには作る私。
しかし面倒が先にたって下ごしらえの基礎や理論はほとんど身についていない、というのが本当のところです。
先日もカジキの照り焼きを作ろうとして下ごしらえに酒と塩を振っておいたはいいものの、「このあとタレに漬けるから必要なくね?」と、表面を拭かずにタレにどぼんっ。理論が頭に入っていないと、手順を知っていてもこんなもんですわ。
(*そうはいないと思うが私と同レベルの方への注意書き:塩と酒を振ることで魚の臭みが表面に浮いてくるので、拭かないと意味がないのである。)
・・・そんな私にぴったりの本です。

日本家庭料理の第一人者土井勝の次男、料理業界のボンにして日本料理とフランス料理の両方を修業した確かな技術を持ち、京都弁独特の語り口は大泉洋がモノマネするほどに特徴的な大先生、土井善晴に、
料理はするけどものぐさでついつい煮物を作ってしまう(しかも焦がしたり)、漫画家小波田えまが料理を学ぶ!という企画本。
しかも私の好きなゆる系エッセイマンガの画風・・・とくれば、読まずにはいられません。

舌まつげとひし形の口がミョーに似ている土井先生のイラストから、先生らしい理論と名言が繰り出されるさまは読んでいて快感です。

焼きそばのポイントはいちいち『けじめをつける』ということです

(焼肉、野菜炒め、と食べても美味しいくらいに、材料にきっちり味をつけていく。ひと工程ずつ確実に終わらせていき、ダラ~ッと流さない。)

雲ひとつない 澄みきった青空のような おだし

また、えまさんがちょうどいいくらいのしろうと感覚&ものぐさで、自分が料理を習っている気分になってくるぐらい。
サンドイッチを作る際の「まずバターはあらかじめ室温にもどしてやわらかくしておく」に、「う、出たな『あらかじめ室温・・・』」となるえまさん。
思い立ったときにすぐ作って食べられない、というハードル。ものぐさにはこれが辛くていきなりつまづくのです。うーん、すっごい良くわかる・・・。

料理や素材を愛して美味しいものを作る土井先生の教えは、とても素直に納得できます。
肉も魚も野菜も美味しい食べ物なんだから、きちんと処理をしてきちんと味付ける。それだけが美味しい家庭料理の極意なのかもしれませんね。
いや~これからは私が料理にテキトーをしそうになるたびに土井先生が台所にあらわれては、「どうしてや、なんでそうしますか」と理由を聞いて怒りそうで怖いー。