書評:浅田次郎『プリズンホテル 秋』

浅田次郎のシリーズ2作目『プリズンホテル 秋』,読了.

今回は,何の因果か任侠団体専用ホテルにて任侠大曽根一家御一行様と警視庁青山警察署の酒グセ最悪の慰安旅行団御一行様が顔つき合わせるという一触即発のドタバタコメディ.Wikipediaによると本シリーズは,主人公・木戸孝之介の成長の物語だそうですが,任侠ものの人情コメディにしか思えないですね,私には.

なにしろ仲蔵親分が恰好いい.

背中を任せながら,渡辺はそのとき妙に確信めいて想像した.この風変わりな極道は,もしかしたらいつもこんなふうに客の背中を流し続けているのではないか,と.

そしてその客たちは,長い懲役を了えてシャバに戻ってきた男たちであり,あるいは世間のしがらみを身にまとってこの宿に逃げこんできたはぐれ者であるにちがいなかった.(P.113)

「何年打たれるかは知らねえけれど,放免になったらその足でここに寄れや.なあに,気に入らなけりゃ,盃はそのとき水にすりゃいい.それまでは,ちゃんと俺が預かっておく」 (中略) 「きょうは手を洗ってやろうな.で,何年先か知らねえが,晴れて放免のあかつきにゃ足を洗ってやろう」(P.299)

いいなぁ.このシリーズは再生の物語ですよね.

純粋に娯楽作品として楽しめるシリーズです.そんな読み方でいいのかな,浅田次郎.