書評:三浦しをん『夢のような幸福』

何冊目かの三浦しをんエッセイ,『夢のような幸福』,読了.

小説でのうつくしい文とは異なり,エッセイでは妄想炸裂.本書でもすごいことになっています.そろそろこの妄想エネルギーを何らかの形に転用することを科学立国・日本の研究者は考え始める時期に来ているのではないでしょうか.

本書では,以下に挙げるような作品や人物に対する偏愛と妄想が炸裂しています.以下はあくまで一部.

・『愛と誠』
・『ガラスの仮面』
・『嵐が丘』
・『サイボーグ009』
・ヴィゴ・モーテンセン(胸毛と臭そうなのが好きって…)

著者のエッセイはライトな文体で読みやすい.しかし,実は著者自身の読書量は半端なく,ジャンル不問で古典も読み,ものすごい教養を感じる.その異常なまでの教養と愛をライト層に分かりやすく伝えるというのが著者の腕ではないでしょうか.

むろん,言及される作品を読者が未読でも楽しめるが,読んでいるとさらに面白いという暗黙のうちに教養を要求されるエッセイ,それが三浦しをんではないかと最近思い始めてきました.ついでにブロガーとして言うと,これだけ「愛」に満ちた文章を書けるのは羨ましいし,大いに参考になります.

なお,著者の本を読んできた中で初めて『サイボーグ009』への言及を読みました.009オタクの私としては「ほう分かってるじゃないか」となぜか上から目線を発するとともに,彼女と一緒に一晩語り合いたい気分.