書評:大屋洋子『いま20代女性はなぜ40代男性に惹かれるのか』

日経ビジネスオンラインというwebページでタイトルを見かけて興味を持ち、Amazonの評価が悪くなかったので購入しました。

電通総研というコンサルティング会社の「ウェルネスプロジェクト」という健康市場に関する研究結果の中から、特に世代・性差によって異なるストレスの種類を取りあげ、そこから見えてくるそれぞれの生活や恋愛観の違いなどをまとめた本です。20代女性と40代男性のカップルが増えているんだってー。えーやだ、やらしー、不倫とかも多いってことー?という下世話な内容ではありません(笑)

「ウェルネス1万人調査」という全国1万人を対象とした調査が元になっており、データをふんだんに用いて説明するところがさすがコンサル。グラフや表を見ているだけでもかなり面白い本です。

本書の論のベースになっているのは、

ストレスをもっとも強く感じているのが男性は40代で、女性では20代(p.63)

というデータ。 どちらの世代も、人生で大きな転換期を迎えています。(本書では「壁期」と呼んでいる。)

40代男性の抱えているストレスはなんといっても仕事。データを見ても、「それしかないんかいな」と思うほどこの項目が突出しています。20代女性は将来不安、就職問題、恋人・恋愛関係、といった項目が他の世代に較べて高く、結婚や出産に適しているといわれる時期と仕事が乗ってくる時期の重なりが彼女らに大きなストレスを与えていることがわかります。 また、

「恋愛はストレスの解消になると思う」という回答が、「恋愛はストレスになると思う」を5ポイント以上も上回ったのは40代男性のみ。(p.58)
「恋愛が楽しい」と答えた世代も、男性でもっとも高いのは40代で、女性では20代。(p.63)

というデータも。 苦しい時期にある両世代が共感しやすく、かつお互いが楽しいものだと思っている“恋愛関係”に入っていきやすいのだ、という理論はなんだか説得力があります。

そしてなにより20代女性の恋愛観の中に、「尊敬できる相手に自分をまるごと受けとめて欲しい」という希望があるのが大きいでしょう。 個性を伸ばし自由に生きろと育てられ、男女は平等であるという教育を受けた20代。 女性は「男性と同じように頑張ってきた。でも将来も不安だ、誰かに私を認めて欲しい、愛して欲しい」と願い、男性は「男女平等のはずなのに、デートして女性の機嫌をとらなきゃいけないなんておかしい。自分だってストレスがたまっているのだから、恋人を作って疲れるくらいなら寝ていたい」と思っているようです。(ほんとに?と思うけれど、データ上で「ストレスの解消方法」で「ゲーム」や「睡眠」が上位なんだもの・・・)

そこへ、バブル期の熱気を知り遊び方を知る40代男性が「恋愛でストレス解消!」とほがらかにやってきて、ぎゅっと抱きしめてくれたりなんかしたら・・・。 20代のオンナノコの悩みなんて、まるっと受け止められてしまうでしょう。

私の周囲にも、男性がひとまわり以上年上のカップルが急に増えてきたので、あながちデータ上だけの理論ではないのかもしれません。 しかし、「被承認欲」を満たされたいだけの20代女性と、恋愛の美味しいところだけをつまみぐいして「ストレス解消」したいだけの40代男性だったら、この現象は単なる流行で(20代女性が30代になり落ち着いてきて、40代男性が50代になって魅力がかすんできたら)終わってしまうことでしょう。

もちろん本書にもあるように、そこからお互いが本当に信頼しあう関係に発展していくこともあります。 けれど、ひととひとの関係から求めるものが「相手から何かを得たい」「楽しい思いをしたい」だけではないならば(もちろんです!よね?)、年齢差があろうがなかろうが、もっといえば恋愛関係だろうがなかろうが、満たされたものが構築できるのではないかと思います。

人生のストレスはわかるけどさー、それを恋愛で何とかしようと思うなよ!と・・・。

そんなわけで、いま悩んでいる20代女性にはぜひ読んでもらいたい本です。自分の持つ悩みやストレスを“たな卸し”する作業に役立つのではないでしょうか。 同じ「壁期」にある相手に共感して癒してもらうよりも、「壁期」を乗り越えた先輩に話を聞いてもらうほうがよっぽど建設的だと思うのだけれど。

そして悲しきかな、“ロスト・ジェネレーション”の30代は本書に記載がほとんどありません(泣)。 男性は不況に疲れて家庭的な安らぎを求めているので恋愛市場に参加せず、女性は・・・この状況では年下20代男性は当てにならず、30代男性は周囲におらず、40代男性は20代女性にとられ・・・といちばん苦しい状況にあるようです!!!大変!!!