書評:三浦しをん『しをんのしおり』

三四郎はそれから門を出た』に続く,三浦しをんエッセイ2冊目.このところ三浦しをんばかり読んでいるな…

2002年刊行ということで,彼女の書籍の中では割と古い部類に入ります.綺麗な装丁の本ですね.

マンガやBLに詳しいという触れ込みのしをん先生.私がこの本で確信したことは,腐女子&妄想が半端ないということです.趣味:妄想,特技:白昼夢という私,ものすごく共感します.

たとえば,高倉健さんの一日を妄想するシーンはすごい.

健さんは小鳥のさえずりと共に,朝は四時頃に目を覚ます.もちろん畳の部屋に布団を敷き,両手は腹の上に軽く置いて仰向けで寝る.夜,床についた時とまったく同じ姿勢のまま目覚める.たまに,寝間着にしている一重の裾がわずかに乱れていることがある.そういうとき健さんは,むっくりと身を起こしてしばらく考える.なにか心に引っかかっている事柄はあるだろうか.だれかを憎んだり,必要以上に愛してしまったりはしていないだろうか.五分ほどかけて自分の心を検証してから,健さんは起き出す.敷布の足もとの方で,布団はきっちりと二つに折られた形になる.(P.190)

長いので引用やめますが,この後健さんが乾布摩擦したり木刀で素振りしたり,身の回りの世話をする住み込みの青年が出てきたりと,もういろいろです.著者はこの調子であと軽く200枚は「健さんの一日」を書けるそうです.それだけ読みたい.

他にも「次元大介と石川五右衛門どっちが好きかで分かるチェックシート」とか,京都旅行で哲学の道の盆栽を見て妄想する超戦隊ボンサイダー(松グリーン,菊イエロー,ブルーローズ,梅レッド,牡丹ピンク)とか,しをんの妄想炸裂!

妄想好きな人にはオススメです.私,この本を読んで三浦しをんが本当に好きになりました.一緒に酒を飲みたいね.

える知っているか,これだけ妄想していて著者は直木賞作家なんだぜ…


↓文庫版もどうぞ!