書評:杉山茂樹『チャンピオンズリーグ決勝 バルサ対マンU 「世界最高の一戦」を読み解く』

欧州サッカーに精通するスポーツライター杉山茂樹氏の新書・『チャンピオンズリーグ決勝 バルサ対マンU 「世界最高の一戦」を読み解く』,読了。

チャンピオンズリーグ決勝 バルサ対マンU 「世界最高の一戦」を読み解く (光文社新書)
チャンピオンズリーグ決勝 バルサ対マンU 「世界最高の一戦」を読み解く (光文社新書)

昨年の欧州チャンピオンズリーグ決勝カードの試合の流れを解説する本書。

現代サッカーは,サイドバックをいかに有効に使うかがポイントだとされている。裏を返せば,サイドバックの攻め上がりをいかにして止めるかになる。3フォワードの布陣が増えた理由でもある。

なるほど。本書の決勝カードであるバルセロナもマンチェスターユナイテッドも4-3-3(4-1-2-3)を採用しているのは偶然ではないですね。

こういったシステム論を交え,3トップの中央・メッシがやや後ろに下がりワイドな2トップからエトーの先制点を呼んだシーンなどの解説が非常に分かりやすいです。臨場感もたっぷり。『4‐2‐3‐1』は未読なのですが,なるほどサッカーのフォーメーションが分かりやすく説明されています。

著者はシステム分析大好きですし,スペイン・オランダのサッカーに傾倒しすぎて日本のサッカーには批判的ですが(→参考:Wikipedia),日本代表の問題についても触れられています。スパレッティ監督が率いてトッティがセンターフォワードを務めた2006年頃のASローマを引き合いに出し,日本代表の布陣は4-6-0であるべきだと説いています。そして本田圭佑の必要性も。

(前略)有り余る日本の中盤選手をどう使いこなせば,日本代表にとって有益かという視点に立つと,なおさら4-2-3-1の1を務めるトッティの存在が眩しく思える。
トッティは見るから自己顕示欲が強そうな「オレ様系」の選手だ。そうした,まさに非日本人的なキャラクターを備えた選手で,かつ,それなりに得点能力を備えた選手に白羽の矢を立てたくなる。4-2-3-1の1に抜擢したくなる。
本田は,そうした意味でとても貴重な選手に見える。彼を有効活用しない手はない。

確かにその通りですよねぇ。


いろいろと批判も多い著者ですが,非常に分かりやすくて面白い本でした。チャンピオンズリーグのセミファイナル・ファイナルの前に,そしてワールドカップの前にフォーメーションのおさらいにどうぞ!

…しかし,サッカーって面白いよねと思う反面,今の日本代表はねぇ…という気持ちになりました。


※2010-04-29追記

本書ではチャンピオンズリーグ2連覇の難しさが指摘されていましたが,バルセロナはインテルに準決勝で破れてしまいました.勝ちたくて勝ちたくて仕方のない「ガナドール」の精神を失ってしまったのかもしれません.