書評:長谷川滋利「長谷川滋利のメジャーリーグがますます楽しくなる観戦術」

メジャーリーグで活躍する/した日本人選手の中では,野茂英雄と並んで長谷川滋利が好きです.孤高の求道者というイメージの野茂のラスト・サムライぶりも美しいと思いますが,「適者生存」として環境にアジャストし,英語も堪能で,ビジネスに興味を持つ長谷川のインテリジェンスに共感するところがあります.

そんなシギーこと筆者が,

日本でのメジャーリーグの報道はどうしても日本人選手中心になってしまうと思うので,それを補う意味で僕が経験してきたことなどを中心にメジャーの魅力をお伝えできたらいいなあと思ったからだ.

とつづった本書があることを知りました.これはいい.

『長谷川滋利のメジャーリーグがますます楽しくなる観戦術』  : 本屋さんへ行こう!

長谷川滋利のメシ゛ャーリーグがますます楽しくなる観戦術
長谷川滋利
ワニブックス (2007/07/26)
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大量リードしているときは盗塁しない,ホームランを打ってもガッツポーズしないといったメジャーリーグの文化について解説したり,メジャーで活躍する日本人選手の印象を語ったりという本.長谷川さんは1997年からエンジェルスに移籍したため,若い選手(たとえば松坂大輔)の日本時代をあまり知らないという意味で,ちょっと面白い日本人選手論といえるかもしれません.

本書で特筆すべきは,主なチームや各地区ごとの特徴の解説.ヤンキースやレッドソックスといった日本でもおなじみのチームはありますが,中堅以下となると日本ではその特色が伝えられることは数少ないのが現状です.その意味で,長谷川さんが対戦した印象や遠征で訪れた街について語る本書は非常に面白い.

たとえば,北海道日本ハムの前監督・ヒルマンが監督に就任し,千葉ロッテから薮田投手がFAで移籍したカンザスシティ・ロイヤルズについて.

最近のロイヤルズは戦力がなかなか整わない.正直,カンザスシティに遠征に行く時は,貯金をしなければならないと,どのチームもが思っている.逆にそれがプレッシャーになったりするのだが.

…ヒルマンに再建を託す,と.続いて,コロラド・ロッキーズからFAとなった松井稼頭央選手の獲得が伝えられるヒューストン・アストロズについて.

アストロズは球場が「バッターズ・パーク」ということもあり,フリーエージェントとなった打者には魅力的な球団だ.

なるほど,ロッキーズ同様打者有利となると松井稼も引き続き期待できるかも.最後にヤンキース松井秀喜選手のトレードが噂されるミネソタ・ツインズについて.

僕の経験で言えば,ツインズの右打者は決まってライト方向を狙ってくる.進塁打を心がけていたし,1点にこだわるあたりは日本の野球にも似ていた.

だからこそ勝負強い松井には合うのかも?

この本を読むと,12月のストーブリーグが10倍くらい楽しくなりそうです.