書評:森見登美彦「新釈 走れメロス 他四篇」

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これはまいった.

森見登美彦さんの名前はなんとなく知っていて初めて読みましたが,これは面白い!太宰治「走れメロス」,坂口安吾「桜の森の満開の下」,中島敦「山月記」などの名作のパロディです.否,パロディというよりパスティーシュ(文体模写)!たとえば「走れメロス」は以下のような感じです.

学祭のとき,芽野が詭弁論部の部室を奪われたのに怒る
→抗議に行って捕われる
→学祭の最終日に,吹奏楽部の「青きドナウ」演奏をBGMとして裸でピンクのブリーフで踊ったら許してやろう
→否,明日は郷里の姉の結婚式だ…
→友人を人質に…

という流れです.このおかしさ伝わりますか?

しかし見よ、目前の加茂川を。

すみません,書いてておかしくてたまりません.

こんな感じで原作を現代版に直した口調で進みます.しかも全編を通じて京都大学(筆者の母校らしい)をネタにしているらしく,左京区がどうの,近くの漫画喫茶がどうのというおバカな学生ライフを描いているのが笑えます.

パスティーシュといえば清水義範でしたが,ようやく後継者が出てきたのかも.