書評:牧野和夫,西村博之「2ちゃんねるで学ぶ著作権」

ブログを書いていたり掲示板に投稿したりmixiしたりする人にとって,実は著作権ってのは結構大事です.今あなたが書いている記事,それがうっかり著作権違反の世界に繋がっているのかもしれません(「世にも奇妙な物語」のタモリさん風に).

というわけで,弁護士・牧野和夫先生と2ちゃんねる管理人・ひろゆき氏の本でネットの著作権を学びましょう.

私,昔から自分のサイト持っていたおかげ(もう10年!)と,昔音楽をやっていたこともあり著作権の管理には割と関心を持っていました.また最近では,仕事柄もあり著作権法の他,知的財産権に関する法律(商標法,不正競争防止法など)はきちんと読んできたつもりですが,個々の事例となると結構知らなかったものがあります.

知らなかったのが,「アニメの決め台詞は著作物ではない」ということ.あれそうなの?

編「なにやってんの!」
ひろゆき「だれ?」
編「左舷,弾幕薄いぞ」
ひろゆき「あっ,ブライトさんですか」
牧野「その程度の短さであれば大丈夫でしょう」

ほーそうだったんですか.独立した「思想または感情の創作的表現」と判断するには難しい,とか.

また,牧野弁護士とひろゆき氏の対談で進められる本作の合間に,牧野弁護士による法律のコラムがあります.これが面白い.

例えば,「法律の成り立ちには判例法主義と制定法主義がある」とか,「物理の法則と違い法令は社会のコンセンサスによって作られるものである」といったことが書かれています.

最近,この種の法律の解説本をよく読むんですが,専門書ではなくこの種の判例から学ぶやさしい本だと,あまりこの考え方は掲載されていないんですよね.すなわち「法の精神」.

日本の法律の解釈においては,「条文にNGと載っていないから合法」ではなく,「条文の合間を理解する」「判例の積み重ねにより判断する」といったことが求められます.意外にコレ知らない人が多いんですよね.そういった基本的な精神を説いた基本の解説本はあまりありません.その意味で面白い.

もしホリエモンがこの本を先に読んでいたら捕まらなかったのにという本.面白いので,是非ネットの著作権に関心のある人は読んでみてください.

※この記事および紹介する書籍で示されることはあくまで一般論であり,個別のケースについては個々の事情や裁判官の判断によることもあります.当サイトでは法的な責任を負うものではありません.